オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 ジェネリック調べてみました4 2014.08

2008年4月から患者さんが希望されれば先発品でなくジェネリック医薬品が選択できるようになりました。 ほとんどのジェネリックは複数の製薬会社から微妙に異なる内容で販売されています。 たとえば緑内障点眼薬であるキサラタンのジェネリックは、販売当初20社以上から販売されていました。 主成分は全く同じなのですが、それ以外のわずかな違いが薬としての作用・副作用に影響を及ぼしていないかどうかを確認したかったのが調べ始めたきっかけです。 詳しくは「ジェネリック調べてみました」 「ジェネリック調べてみました2」  「ジェネリック調べてみました3」をご覧ください。

6年4か月の私の印象も含めた経過をまとめてみますと

1.のべ処方件数が数千になるが、その中でもステロイド点眼薬が約半数を占める。

2.抗アレルギー点眼薬や、角膜治療点眼薬のジェネリックの需要は多い。

3.ここ数年で新たに出てきた、緑内障点眼薬と抗生物質点眼薬のジェネリックは選択する患者さんの割合も、ジェネリック点眼薬の中で占める割合も増加傾向である。

というものです。

患者さんによっては、効果が少し異なる印象を持つことがあったり、さし心地に差があるので元に戻したりということがありました。 ただ、ほとんどの方で同等であるという結果が出ています。 すべてのメーカーのすべての製品が大丈夫とは正直思っていないのですが、少なくとも信頼できるメーカーの実績のあるジェネリックなら原則心配ないと考えています。


ところで、ジェネリックの中には防腐剤や添加物を含まないということを売りにしている製品がいくつかあります。 それならなぜ先発品がそのように作ることができないのかという素朴な疑問がわいてきます。 以前から点眼の長期連用による防腐剤や添加物の目の表面、特に角膜に対する障害が報告され問題になっているからです。 ドライアイの治療薬などには防腐剤を含まない先発品がありますが、すべてユニットドーズ(UD)製剤です。 これは図のよう1回使い切り用に小分けされていて、開封して点眼した後は廃棄するというタイプでこれで4回分(1日分)です。 いくつかの先発品メーカーに聞いてみたのですが、ボトルなどに特許の問題がある、 すべての皆さんに満足して使っていただけるような防腐剤フリーのボトルが開発できていないなどという答えが返ってきました。 私は、世界中で使用されるため砂漠であろうが熱帯雨林であろうが保存に耐えるために必要だというような答えが返ってくるのかと思ったのですが少し意外でした。 私個人的にはUD製剤が特に高齢の患者さんにやさしい形状だとは思えないのですが・・・。

点眼薬は目というとてもデリケートな組織を守るための薬です。これからもより確実な効果があり、できるだけ目にも財布にも優しい薬の開発を願わずにはいられません。