テーラーメイド治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 流涙とドライアイ 2024.07

以前 流涙症というコラムで、涙道閉塞の原因や治療法をお話ししました。 涙があふれる原因は2つあり、一つは涙が出すぎてあふれる分泌性流涙、もう一つは涙を排出できない導涙性流涙です。 流涙の一番の原因は実はドライアイなのです。 その次が結膜弛緩症で3番目が涙道閉塞です。 流涙症の患者割合としては10万人当たりドライアイは17000人、涙道閉塞は30人程度です。

ドライアイでは目の表面が知覚過敏の状態になっているので、乾燥という刺激で目の表面を保護しようとする涙が反射的に分泌されます。 ドライアイの患者さんの約半数がこの分泌性流涙を訴えます。 涙道を専門とする病院でも、流涙で紹介された患者さんの約4割が涙道閉塞ではなくドライアイが原因だったとの報告もあります。

ドライアイの治療薬であるジクアホソル点眼薬(ジクアス)は分泌性の涙を増やして目の潤いを保とうとする点眼薬です。 そのため、ドライアイの患者さんの中で流涙を訴える方が使用するとかえって流涙が増えてしまいます。 どのタイプの点眼薬が自分に合うかをかかりつけ医と相談してみてください。 ただ、ドライアイは生活習慣病でもあります。 スマホ、タブレット、パソコン、テレビなどの液晶画面を長時間見続けると、瞬きの回数が減りドライアイの原因となります。 特に仕事でパソコンやスマホを見る時間の長い方は、休憩時間にはそれらを極力見ないようにして目のための休憩時間にしてあげてください。

このコラムを書いている少し前からジクアスLXが出荷停止になっています。 添加物の濃度が規定の基準より低いロットがあることが判明したからですが、使用に関しては問題ありません。 そのためほかのドライアイの点眼も代替需要が急激に増えて生産が追い付かずに出荷制限がかかてしまっています。 ドライアイ点眼薬全般にわたって患者さんに処方しようとしても薬局に在庫がない状態です。 今のところ出荷再開のめどは立っておらずご迷惑をおかけしており本当に申し訳ありません。