コラム集 テレワーク・オンライン授業 2020.08
いったん収束に向かっているように見えた新型コロナウイルス感染症ですが、非常事態宣言の解除をきっかけに、感染者数の増加傾向がコラムを書いている時点でも止まりません。 残念ながら兵庫県でも緊急事態宣言後、患者数の最多記録を更新している状況です。
感染症拡大に伴い、在宅勤務(テレワーク)や学校での遠隔授業(オンライン授業)が行われるようになりました。 ゴールデンウイーク前後から、眼の疲れ、違和感、異物感(ゴロゴロ ショボショボする)、眼の奥の痛みなどの症状に加え頭痛、めまい、肩こりなどの身体症状を訴えて受診される方が増えました。 また、社会人や学生だけでなくご高齢の方にも「家にいたら一日中テレビばっかり見てるので・・・」と同じような症状を訴える方が増えました。 これはIT眼症、VDT症候群などと呼ばれており、「IT機器類を長時間あるいは不適切に使用することによって生じる目の病気、およびその状態が誘因となって発症する全身症状」と定義されています。 1997年大学病院に勤めていたころに書いたVDT症候群に関するレポートを10年前に加筆しコラムにしました。(コラム「VDT症候群」) 当時と比べ、スマホの普及などさらに目を酷使する機会が増え、テレワークが追い打ちをかけています。眼の体力にも限界があります。 仕事優先なのは仕方ないとして休憩時間中はスマホやテレビを見ずに目を休めることを意識してください。 「テレワークを行う際の作業環境整備」も厚労省から出ています。
問題なのは学生です。学校が再開され遠隔授業の頻度はかなり減ってきていると思います。 ただ、新型コロナウイルス感染症以前から、低学年でも学校でパソコンやタブレットを使った授業が増えています。 まだ精神的にも肉体的にも未熟な学童に長時間の使用は問題です。さらにスマホを持ち始める年齢も低年齢化しています。 学校で視力不良の紙をもらって受診する学童を診ているとドライアイの割合が増えてきているのを実感しますし、 裸眼視力不良の割合が増えて低年齢化しているだろうことは容易に想像できます。
テレビ、パソコン、スマホのような電子機器類を長時間見続けられるようには目はできていません。 集中して見続けているとまばたきの回数が極端に減ってしまいます。 まばたきには涙を目の表面にまんべんなくいきわたらせてうるおいを与える役割と、ほこりや汚れをふき取る役割があります。 普段の生活では1分あたり20回前後まばたきをしています。 電子機器類を見ているときは半分以下に減ってしまうので、これが長時間続くと疲れるだけでなく目の表面が乾いてドライアイになってしまいます。 ドライアイに関してはコラム「ドライアイ」を見てください。
家に閉じこもっての電子機器類の長時間使用はIT眼症によるストレスに加え、他人との接触がなくなる孤独感からうつなどの精神的な不調をきたすことがあります。 不用不急ではありますが、気分転換を兼ねて散歩するなど屋外での適度な運動をお勧めします。もちろん熱中症対策はしっかりとお願いします。