コラム集 神戸アイセンター 2016.01
あけましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
今年はいよいよ神戸アイセンター構想が具現化する年になるみたいです。 今年6月に着工し、来年10月に竣工予定です。場所は先端医療センターと中央市民病院の間で、駅からは中央市民病院より少しだけ近くなりそうです。
2014年秋に世界初のiPS細胞を用いた治療が神戸市立医療センター中央市民病院眼科で行われました。 当初心配されたトラブルも起こらずに経過しているようで大変喜ばしいことです。 この世界初の治療は加齢黄斑変性症(詳しくはコラム「OCT黄斑変性症」を参照してください) という病気に、 iPS細胞から作った網膜色素上皮細胞を移植するというものです。 ただこの病気は手ごわく、iPS細胞による治療が成功しても視力や視野などの視機能が生活に支障のない程度に回復するわけでは残念ながらありません。 失明を食い止めてできるだけ視機能を維持、回復させるというのが目標になります。 そこで必要になってくるのが残っている視機能を最大限に活用して安全かつ快適に生活するためのケアで、ロービジョンケアとよばれています。 読書、歩行、家事など何に対してケアを受けたいかによってもケアの内容が変わりますし、視機能の変化に応じてケアの程度も変わってきます。 診療所レベルではどうしても対応しきれない部分なのですが、アイセンターにはロービジョンケア施設も併設される予定です。 iPS細胞をはじめとした最先端の再生医療は治療や手術をしておしまいということでなく、そのあとにロービジョンケアというリハビリを続けていただくことが、 患者さんの生活の質の向上につながるという素晴らしい考え方からです。アイセンターの完成が本当に待ち望まれます。
私たちも日進月歩の医療技術に遅れることなく日々の診療に生かしていけるよう、これからも努力してまいります。 目で気になることがございましたらお気軽にご相談ください。