オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集  OCT 黄斑変性症 2011.04

(光断層干渉計)はもともと黄斑疾患に対して開発された機器です。超音波の反射波の時間的な遅延や強度の変化をとらえてグレースケールあるいは疑似カラーで表現されます。今後、黄斑疾患で代表的な黄斑変性症、黄斑上膜(網膜前膜)、黄斑円孔などについてお話ししていこうと思いますが、今回はまず黄斑変性症を取り上げます。日本眼科学会のホームページの黄斑変性症の項を見ていただければ病気や治療法についてよくわかると思います。



まず黄斑部のOCTの正常像について説明します。上の写真が正常像で、真ん中あたりがへこんでいます。ここが中心窩といって黄斑の中心部です。水色の幅の部分が網膜で黄色の幅の部分が脈絡膜です。その間に網膜色素上皮層があり、2つの膜を隔てています。脈絡膜の深いところには超音波が届かないのですが、この3層がどのようになっているかが重要です。網膜にはいくつかの層構造が見てとれると思いますが、とぎれていたり、乱れていたり、本来無い組織が出てきたりしていると問題になります。


  

黄斑変性症はフィルムに当たる網膜の機能低下により視力低下や変視症がでる病気ですが、病初期では網膜色素上皮層や脈絡膜(中央写真:白矢印)に病変が生じ、病気の進展に伴いさらに網膜のダメージへと進展してゆくことがほとんどです(右写真:下向き矢印は網膜、上向矢印は脈絡膜の障害)。一見OCT上では強いダメージがあるように見えても良好な視力を維持できている方もいらっしゃれば、その逆の方もいらっしゃいます。なかなか一筋縄ではいかない病気の代表ですが、検査・治療法は確実に進歩しています。

黄斑変性症は以前のコラムでもお話ししたように私が眼科医になったときは治療法のない病気でした。OCTとインドシアニングリーンを用いた蛍光眼底造影により、網膜あるいは脈絡膜のどの部分に何があるかがわかるようになりました。そのためこれまで黄斑変性症とひとくくりにされていたものが、いろいろな病型に分類されそれぞれにどのような治療法が効果的かを研究できるようになりました。また、光線力学療法や抗VEGF抗体の硝子体注射などの治療法が開発され、残念ながらすべての病型で効果的とはいきませんが、いくつかのタイプではかなり良い成績が残せるようになってきました。

この病気は喫煙がはっきりとした危険因子として知られています。また、食生活の欧米化に伴いこの疾患は増加傾向にあるため、肉中心の食生活ではなく、野菜や魚中心の食生活が推奨されています。サプリメントに関してはルテインが黄斑変性症の予防などに効果があるとアメリカでは報告されていますが、日本眼科学会のホームページではふれられておりません。私はサプリメントを摂取するのは良いこととは思いますが、黄斑変性症でインターネット検索するととてもたくさんのサプリメント販売のホームページが表示されます。はっきり言って玉石混淆です。もし、当院受診中の方で、サプリメント摂取を検討されている方がいらっしゃいましたら、ご相談に応じますのでお知らせください。