テーラーメイド治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 コンタクトレンズ2 2022.06

昨年消費者庁から「コンタクトレンズによる眼障害について」というニュースリリース(クリックするとPDFファイルをご覧いただけます)がありました。 2005年の薬事法改正から透析器や人工呼吸器と同様に高度管理医療機器に指定されています。 副作用・機能障害を起こした時に人体へのリスクが高く取扱いに注意が必要なので、眼科で処方・販売するためには講習を受ける必要があります。

当院ではコンタクトレンズ処方は行っておりませんが、時々コンタクトレンズ装用によるトラブルで受診される患者さんがいらっしゃいます。 視力矯正ではなくファッションとしてカラーコンタクトレンズ(カラコン)を使っている方のほとんど全員がネットか量販店で購入し、眼科医のチェックは受けておられないようです。 視力矯正という本来の目的で使用されている方でも、かなりの方がはじめは眼科医のチェックを受けていたけど、 そのうち同じ度数のコンタクトレンズをネットで購入し始め、定期的なチェックを受けていない状況です。 コンタクトレンズ購入者全体の4割がネット販売を利用しているそうです。 本来ならネットで注文するときも医師のコンタクトレンズ処方箋が必要なのですが、なくても問題なく購入できてしまいます。 透析器や人工呼吸器と同じ取扱注意のものが何の制約もなく購入できるのはちょっとどうかなと思います。

ニュースリリースによると全国で1500~1800万人、国民の10人に1人が装用しているそうです。 コンタクトレンズの市場規模は拡大しており、令和2年だと、出荷額が2400億円そのうちの16%がカラコンです。 おしゃれ目的のカラコンも以前は雑貨扱いだったのですが、目のトラブルが頻発したため今は高度医療機器に位置づけられています。 以前はカラコンの色素が目の表面で溶け出すような劣悪な海外製もありましたので注意が必要です。

これまでにも角膜潰瘍など高度な視力障害が残ってしまうようなひどいトラブルが多数報告されています。 当院では幸いなことにそこまで重篤な障害を残した方はいらっしゃいませんが、 「えっ、こんなひどい状態なのにコンタクトレンズつけたまま来院されたんですか?」みたいな方は時々いらっしゃいます。 「わたしメガネもってません」という方もいらっしゃいます。 コンタクト装用がつらいのに無理やり装用を続けたりし続けると、まぶたの裏や目の表面に慢性的なストレスを与え続けることになり、コンタクトレンズが曇りやすい、 ずれやすい、異物感が強く装用できない、まばたきするたびに見え具合が変動するなど、コンタクトレンズを受け付けない状態に追い込まれることがあります。 コンタクトレンズに限らず「調子の悪い時には無理をしない」これは体のどの部分でも鉄則です。