コラム集 アレルギー性結膜疾患実態調査 2022.07
アレルギー性結膜疾患(ACD)は国内で6000万人程度の患者さんがいるといわれています。 今月の日本眼科学会雑誌にアレルギー性結膜疾患実態調査が掲載されています。 調査した施設の受診患者さんのうち4.3%がACDで男性より女性に多かったそうです。 ただ当院では緑内障患者さんが多いなど診療所による違いがあるので、ACD治療に力を入れている眼科でこれぐらいの割合ということだろうと思います。
その内訳は花粉症など季節性アレルギー性結膜炎56.6%、ハウスダストなどの通年性アレルギー性結膜炎37.0%、アトピー性結膜炎3.1%などでした。 アレルギーの原因物質を調べた血液検査では、スギは59.7%、ヒノキは34.2%、カモガヤは28.2%、ダニは36.6%、ハウスダストは37.3% で陽性でした。 多くの患者さんが複数の物質にアレルギーがあることがわかります。 また、ハウスダストには地域別の増減はありませんが、花粉症には地域性があり、北海道ではスギ、ヒノキ陽性の患者は極端に少なく、シラカンバ陽性患者が多数という結果でした。
国際的には2003年で13-14歳におけるアレルギー性鼻炎・結膜炎の有病率が14.6%でした。 日本ではいくつかの疫学調査があり、報告によりACDの有病率は違いますが、全年齢層・学童期ともにACD罹患率は過去に比べ増加傾向にあるのは確かなようです。 衛生環境、花粉飛散量、食生活などの変化、地球温暖化の影響などいくつかの要因があるといわれております。 スギアレルギーなどに対して舌下免疫療法という抜本的な治療を受けるという選択肢はありますが、基本はかゆみなどの不快な症状の軽減を図る対症療法になります。 当院では舌下免疫療法は行っておりませんが、市販の点眼であまり改善しない方は相談していただければと思います。