オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 緑内障目薬の合剤 2014.04

以前のコラム「緑内障点眼薬」に書いたようにいくつかの種類の緑内障治療薬があります。 当院では出来るだけ少ない種類の目薬で治療・管理していくという方針です。 眼圧が高いからという理由だけで目薬を追加したりすることはしませんが、 どうしても2剤あるいは3剤の緑内障目薬を使っていただかないと病気のコントロールがしっかり出来ないかたがいらっしゃいます。 内服薬ならば、複数の錠剤を一度に服用することが出来るので手間の面では1剤が3剤になっても大きくは変わりません。 ところが、目薬の場合は続けてすぐにさしてしまいますと、先にさした方の目薬が流し出されてしまい十分な効果を発揮することが出来ません。 できるだけ5分程度間隔をあけてさしていただくようにお話はしていますが、朝の忙しいときなどそんなことをいっていられなかったり、 つい後からさす方を忘れて寝てしまったりすることがあるのではないかと思います。

このようなことが時々起こるかたなら、1本の目薬に2つの成分があらかじめ入っている合剤と使うという選択肢があります。 2種類の薬を1度に点眼できるように設計されているので、2つめの点眼までしばらく時間をおく必要がありません。 忙しいかた・生活が不規則な方にはありがたい目薬です。 目薬の合剤そのものは以前からありました。たとえばステロイドと抗菌剤を組み合わせたものや、 疲れ目の目薬などいくつかの成分が含まれているのも合剤といえるでしょう。 緑内障治療目的の合剤は4年ぐらい前から利用できるようになっています。

緑内障治療の合剤には大きく分けて2種類あり、βブロッカー+プロスタグランジン製剤の組み合わせと βブロッカー+炭酸脱水素酵素阻害剤の組み合わせです。 前者に属するのがザラカムとデュオトラバで、後者がコソプトとアゾルガという目薬です。 別々だとそれぞれ1日2~3回、1日3~5回さす必要があったのですが、これらの合剤だとそれぞれ1日1回点眼、1日2回点眼ですみます。

ただ、疲れ目の目薬とは違い、眼の表面にストレスをかけてでも眼圧を下げにかかるものなので、合剤に限らずさし心地はあまりよくないことが多いです。 さらに副作用として充血、異物感、かゆみなどの症状、あるいは薬の種類によっては色素沈着や奥眼になるという見た目の変化が出ることがあります。 こうなると、点眼の中止・変更しなければならないのですが、合剤だとどちらが原因かの切り分けをするのに時間がかかってしまいます。 また、目薬をさすのを忘れてしまうと2剤点眼できなかったことになるのでさし忘れの影響が別々に点眼するときより大きくなってしまいます。 点眼回数が少ないほどきちんとさせる傾向であることは以前のコラム「緑内障アドヒアレンス」でお伝えしたとおりなので、 メリット・デメリットありますが合剤も緑内障治療の重要な選択肢の一つであることは間違いありません。