コラム集 機能性表示食品 2024.05
前回のコラム「花粉症緩和米のその後」は、花粉症緩和米を機能性表示食品として発売してほしいなという思いで書きました。 その直後に機能性表示食品として発売されている小林製薬の紅麹で多くの方が腎機能障害を発症し、亡くなる方まで出るという大事件が起きてしまいました。製造工程での問題で機能性表示食品としての問題ではないのかもしれません。 ただ、効果に疑問符が付く機能性表示食品が大々的に宣伝されている中、この制度の見直しはあってもいいのかもしれません。
もともとトクホ(特定保健用食品)という制度がありました。 これは企業がしっかりした科学的根拠に基づいてその食品が有効であることを証明し、それを政府が検証し承認するというお金も時間もかかる制度です。 これでは大手企業でないと利用が難しく、中小企業が参入する障壁になっているという意見がありました。 3月の時点でトクホが132社、機能性表示食品が1709社が参入しているそうです。
以前「サプリメントに対する私見」というコラムで書きましたが、「ドライアイ治療にn-3脂肪酸サプリメントは有効か?」という大規模試験で、 サプリメントを服用したグループとドライアイ改善に役立たない偽薬を服用したグループで、効果があったと感じる方がほぼ同じでした。 つまりドライアイに効くサプリを飲んでいるという気持ちだけでドライアイの症状が改善してしまったわけです。
機能性表示食品の場合も、しっかりとした根拠をもって効果を判定している食品が多いのだと思います。 しかし効果があると思い込むだけで調子が良くなったと感じる方が一定数おられるのに、 食品を利用する前後で比較して効果があったと結論付ける食品があるのはどうかと思います。 これまでも事業者側で根拠を作ることができるのでどうしても手前味噌になりがちで、届け出された科学的根拠の質が低いとの指摘はかねてからあったみたいです。
病気の治療ではなく健康年齢を延ばすという目的でこのような商品を利用するのはありだとは思います。 ただ「ほかより高濃度」「ほかに比べてx倍の含有量」などとの広告を見ますが、 成分によっては過剰摂取は健康を害する危険があります。複数の商品を利用されている方は特に注意が必要です。