テーラーメイド治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 スマホ老眼 2019.08

前回のコラムに続いてスマホ関連のお話で、スマホを長時間使用し続けることでおこる老眼のような症状、スマホ老眼についてです。

遠くより近くを見るほうがピントを合わせる力は必要です。40代半ば以降この能力が衰えて近くが見えにくくなるのが老眼です。 近眼の人は老眼になりにくいと思っている方もおられますが、すべての人に起こります。 近視矯正のために遠くに合わせたメガネではやはり近くが見えにくくなり、近くを見るためにはメガネをはずしたり遠近両用のメガネが必要になってしまいます。

20-30歳代でスマホを長時間使用する方に、このような老眼に似た症状で悩まされる方が増えてきました。 ピント合わせの機能は毛様体という目の中にある筋肉が行っています。近くを見るときは毛様体が収縮する、つまり働く必要があります。 スマホの長時間使用により、毛様体という筋肉がピントを合わせようと働き続けることで、一時的に能力が衰え老眼のような症状が出るのです。 目に近づけて見ようとすればするほど一生懸命働かなくてはならないので、パソコンよりスマホの距離で画面を見続けるほうが毛様体は疲れるのです。 10㎝という極端な近距離でスマホを見ている方がいますが、これではスマホ老眼にならないほうがおかしいぐらいです。

スマホ老眼は基本的には一時的な症状で、スマホの使用をやめて休息すれば回復してきます。 ただスマホ老眼の症状が出ているにもかかわらず、長時間視聴を毎日長期間続けると元に戻らなくなり老眼の状態が続くことになってしまいます。 目にこれだけの負担をかけ続けるようなライフスタイルだと、首や肩の痛み、頭痛などが起こっても不思議ではありませんし、倦怠感や鬱など精神的なストレスの原因にもなりかねません。 視力回復や目のトレーニングを目的としたスマホアプリもありますが、スマホ老眼に限っていえばスマホをじっと見続けることは変わりなく、かえって症状が悪化してしまうかもしれません。

スマホ老眼を予防するために推奨されていることは、

・1時間使用したら10分~15分間目を休める。遠くを見たりあるいは目を閉じたりという意味で、間違ってもテレビを休憩として見ないでください。

・スマホの距離を40㎝ぐらいには離す。

・蒸しタオルなどで目や目の周りの血行を良くする。その間は目を閉じて休めるので効果としては一石二鳥です。

・治療としてではなくリフレッシュの手助けとして、人口涙液などを点眼ししばらく目を閉じておく。 などです。

スマホ老眼になる大きな理由に寝スマホがあります。寝る前にスマホを長時間見るとリフレッシュが間に合わないまま朝を迎えてしまいます。 さらに寝スマホは体内時計を狂わせてしまい、リフレッシュに大切な睡眠のリズムまで崩してしまいます。 私はブルーライトによる弊害よりも、夜遅くにスマホを使用することで脳が興奮して眠れなくなくなるのが主因だと思っています。 ブルーライトに関してはコラム「ブルーライトに対する私見」をご覧ください。

最近のIT環境は過酷な努力を目に強いる機会が増えています。仕事で酷使した目を休めるために、休憩時間は目のリフレッシュを意識してみてください。 休憩時間もプライベートでスマホをいじってると目は休憩できず悲鳴を上げています。