テーラーメイド治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 医療機器の再製造 2024.06

環境問題を無視できない今、医療機器も使い捨てでいいのかという議論が始まっています。 私の研修医時代では、手術器具で可能なものは使用後に洗浄、滅菌して再使用していました。 その後プリオン病など、使用した医療機器を滅菌していても感染する可能性のある病気が指摘されるようになり、感染対策などの安全性を最優先するために手術器具は再滅菌することなく一回使用で廃棄することになりました。 最初のころは病院独自の判断基準で滅菌して再使用する機器も残っておりました。 一回で廃棄する中には数万円から数十万円する高額なものがあったためです。 ただ、滅菌が不十分であれば感染のリスクがありますし、再使用を繰り返すことで機器の性能が低下し、医療事故の原因になる可能性が指摘されていました。 2014年、厚生労働省から安全確保のため、使い捨て医療機器の再使用禁止を徹底するよう通知がありました。 眼科でも値段にかかわらず手術器具は1回の使用で廃棄し、そのほとんどが焼却処分されています。

最近この使い捨てという行為が見直されるようになり、これまで使用済みで廃棄されていた医療機器を「原材料」にして医療機器を作るようになり、 これを「再製造単回使用医療機器」と呼ぶそうです。 再製造とは耳慣れない言葉ですが、本来1回の使用で廃棄する医療機器を製造業者が回収し、 分解、洗浄、滅菌、そして使用できる状態に組み立て直して製品化したものです。 どのような医療機器でも再製造可能というわけではなく、従来の医療機器よりも承認に厳しい条件があります。 しかもオリジナル製品と同等の品質、性能が求められ、品質機能検査はすべての製品で実施されています。 このような製品は環境にやさしいだけではなく、医療費を削減する目的でも注目されています。 ちなみに国内の使い捨て医療機器の年間市場規模は1兆8000億円!だそうです。