コラム集 視野検査 2022.12
緑内障は視力低下ではなく視野欠損が初期に起こる病気なので視野検査は必須検査です。 視野検査には動的視野と静的視野の二種類があります。 動的視野はゴールドマン視野計を用いて視野全体を検査します。 検者(検査を行うスタッフ)といっしょに行う検査なので、お互いにコミュニケーションをとりながら自分のペースで検査を受けることができます。 広い範囲の視野測定は得意なのですが、緑内障初期に出るわずかな変化をとらえるのはあまり得意ではありません。
静的視野は視野計に内蔵されたプログラムを用いて、緑内障でごく初期に出てきやすい中心近くの視野を調べる検査です。 最近ヘッドマウント型のものも出てきてきました。 ご高齢の患者さんでは検査時の姿勢保持が測定時間が長くなると難しい方も多く、患者さんの負担軽減や検査結果の信頼性向上のために開発されました。 ただ、静的視野計にはいくつかの種類があるのですが、それぞれで得られた結果には互換性がありません。 静的視野計でデファクトスタンダード(=ほとんどの施設が使っている)はハンフリー視野計です。 アイセンターや大学病院でも採用されており、当院でも採用しています。お互いの結果を比較検討するのに適しているためです。
人生100年といわれる高齢化時代に突入しています。 緑内障治療戦略もより長期にわたるという前提に立つことになります。 治療薬の選択もそうですが、その効果判定するための視野検査も高齢者にとって受けやすいものである必要があります。 静的視野検査を受けた経験のある方はお分かりと思いますが、集中力が必要な数分~10分ぐらいかかる検査です。 私が受けても結構つかれる検査です。
ハンフリー視野検査にもいくつかのプログラムがあるのですが、データの正確性を求めたプログラムだと視野欠損の大きい方は検査時眼が長くなり、 ご高齢の方の集中力が続かなくなりがちです。 検査データはばらつきやすいのですが、比較的短時間で行えるプログラムで視野検査を行ったところ、通常のプログラムよりいい結果が出ることもあります。 視野欠損が進行したというよりは、年齢とともに検査がしんどくなって集中力が落ちたせいだったのかもしれません。 結果の正確さと短時間での測定はなかなか両立しません。 患者さんそれぞれの様子を見ながらどの視野検査を選択をするのかを考える必要があります。 短時間で高齢者でも信頼でき、これまでの結果と比較するときに互換性がある視野測定法が待ち望まれます。