オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 モノビジョン 2016.11

モノビジョンとは、例えば右眼が正視(遠くがクリアに見える)、左眼が近視(近くがクリアに見える)というアンバランスな状態です。 右眼が遠くを見るときの担当で、左眼が近くを見るときの担当となっています。 若いころからたまたまこのような状態になっている方もいらっしゃるのですが、多くの方はメガネをかけることなく生活することが可能です。 このようなアンバランスな状態に脳も眼も慣れているために、眼鏡で矯正してバランスを取ろうとするとかえって違和感や疲れ目の原因になってしまうことがあるようです。 白内障手術でモノビジョンを解消できる機会があってもあえて残したいと希望される方もいらっしゃいます。

近視の程度にもよりますが、モノビジョンの方は老眼の症状が現れる中高年になっても、近視眼で近くを見ることができるため老眼鏡を必要としない方がいらっしゃいます。 遠くがよく見える(眼鏡をかけても含む)状態で、近くを見るときに必要なピント合わせの力が落ちてくる状態が老眼です。 それを補うための老眼鏡なのですが、近視の眼はもともと近くにピントが合っていて遠くにピントが合わない状態なので老眼鏡をかけなくても近くは見えます。

これを踏まえて老眼の初期のころにモノビジョンを利用できないかという試みがあります。 具体的な方法としてはコンタクトレンズまたはメガネで、利き目(優位眼)が遠くを、反対の目(非優位眼)が近くを見やすくするようにします。 どちらかといえばコンタクトレンズのほうが適しているとは思いますが、 左右の度数に差をつけすぎるとアンバランスさが許容できないので少しの差をつける程度ならどちらでも可能だと思います。 こうすることでモノビジョンになるものの一本のメガネで遠くも近くも見ようとするものです。 もともと裸眼あるいはメガネで両眼のバランスのとれた視力で生活されている方に、あえてアンバランスなモノビジョンを作り出すので、どなたにでも適用できる方法ではありません。 目の疲れや違和感にデリケートな方や、細かな立体視が必要な職業の方は難しいと思います。 また、老眼がある程度進行してしまうと、モノビジョンとして許容できるアンバランスの範囲を超えてしまいます。

もちろん一本のメガネで遠近両方見ようとするならば、遠近両用メガネを利用するのがいいと私は思います。 だだ、一つのレンズに遠用と近用の二つの度が入っているため使い方にコツがあり、うまく使えないあるいは違和感や疲れ目の原因になる方がいらっしゃいます。 複数のメガネを使い分ければ一番いいと思うのですが、面倒だったりどこかに置き忘れたりといったことがあります。

それぞれに一長一短ですが、皆さんのライフスタイルに合わせ何を優先して何を我慢するのかで選択していただければと思います。