コラム集 食生活と眼 2025.03
今回は食生活と眼の病気に関してです。
まず食生活が病気治療に直結するのが糖尿病網膜症です。
糖尿病の管理が不十分だと合併症として、神経障害、腎症そして網膜症があります。
血糖コントロールが良くないと糖尿病発症から5年~10年後に網膜症発生するリスクが高くなります。
糖尿病の管理に重視されているHBA1cの値が8.0%超えるとリスクが上がり、7.0%までならリスクは高くないといわれています。
糖尿病網膜症以外でも眼の病気を予防するのに食事はとても大切な要素です。
結論から言いますと、当たり前のことではありますが偏りのないバランスの取れた食生活が一番です。
その中でも注目されているのは抗酸化作用のある食品です。
酸化ストレスという言葉を聞いたことがあるかもしれません。
体内で活性酸素が過剰に産生されそれを処理しきれなくなっている状態を指します。
活性酸素自体はウイルスや細菌に対して防御的に働き、免疫活動の一翼を担っています。
必ずしも悪者というわけではありません。ただ多すぎると老化や動脈硬化、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の原因になったりします。
・白内障
水晶体というレンズに当たる組織が濁って視力が低下する、多くは老化に伴う病気です。
水晶体には抗酸化物質であるビタミンCが血漿の50倍以上含まれていて、透明度維持に何らかの役割を担っていると考えられています。
ビタミン類やルテインなど抗酸化作用のある食品を多く摂取している人で白内障の進行をある程度抑制できたという米国の報告があります。
米国立眼病研究所は加齢による白内障の進行抑制として緑葉野菜、果物、その他抗酸化物質を含む食品の摂取を勧めています。
・加齢黄斑変性症(AMD)
ルテインは、緑色の葉野菜に多く含まれる天然色素です。
ルテインが持つ抗酸化作用に光毒性から眼の組織を守る効果があることは以前から知られていました。
以前にもコラムで紹介したようにルテインやビタミンC、Eなどを含むサプリメントが、AMDの予防や進行抑制に効果があると大規模臨床研究で明らかになりました。
それに基づいて日本でもAMDに焦点を当てたサプリメントが発売されていて、私も患者さんに勧めることがあります。
ただ、欧米での研究なので欧米人と日本人との遺伝的な背景や体格が違います。
さらにAMDのタイプが日本人と欧米人との間にすこし違いがあるため、日本人にとって最適なサプリメントの組成と量の検討は必要かもしれません。
日本人の食生活の西欧化もAMD発症のリスクの一つとされています。 抗酸化作用がある食品を多く含む地中海式食生活がAMDの発症予防や進行抑制に効果があるそうです。 抗酸化物質を含む食品をバランスよく摂取することが眼に限らず健康管理に重要です。