オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集  学校保健と眼 2012.12

先日、「学校保健と眼科」という保健の先生を対象とした講演をさせていただきました。 主に中学・高校の先生が対象でしたので、幼児・学童期を通して注意が必要なケガや病気の話のほかに、この年代で問題となっているコンタクトレンズによるトラブル、ドライアイ、3D視聴に関する注意事項などもお話ししました。

学童期のコンタクトレンズ装用に関しては3年に一度大規模調査を行っています。 装用開始の低年齢化が少しずつ進行しており、中学入学あるいは高校入学をきっかけに使い始める人が多いようです。 2009年の調査では中学生の6.4%、高校生の26.6%がコンタクトレンズを使っています。高校3年生になると3人に1人が利用しているようです。 レンズのタイプとしては中高ともに使い捨てレンズの利用がコンタクトレンズ全体の85%に達しています。 また、半数以上の方がコンタクト装用で眼の異常を感じたことがあり、視力障害に至るケースは稀ですが無理は禁物です。

最近の問題としてはオルソケラトロジーというコンタクトレンズによる視力矯正法が出てきたことです。 これは寝ている間に特殊なコンタクトレンズを装用することで、眼の表面を変形させて日中の活動時間帯に裸眼で良好な視力を維持しようとする方法です。 保険がきかない自費療法で、適応にはいくつかの制限があります。 日本眼科医会では「学童期にはこの治療法を推奨しない」との立場で、私も同じ意見です。

もう一つコンタクトレンズの問題としてはカラーコンタクトレンズの使用が中高生にも広がっていることです。 2009年の調査では中高生の2-3%に使用経験があるようです。 あまり知られていませんが、コンタクトレンズは薬事法に基づき高度管理医療機器とされ、販売や製造に厳しい規制があります。 矯正用でないおしゃれ用カラーコンタクトレンズは規制の対象外でしたが、角膜障害が多発したため昨年2月より医療機器として取り扱うことになっています。 このように規制が厳しくなったのですが、どういう訳かネット通販や雑貨店で今でも簡単に購入することが出来ます。 どうみても目に良くないようなものも販売されているようです。 当院ではコンタクトレンズ処方はしておりませんが、カラーコンタクトレンズ装用で悲惨な状態に陥った眼をいくつも診ている私としては、せめて眼科医の管理指導のもとに比較的安全なものを使ってもらうことを願ってやみません。