コラム集 グレーゾーン 2009.05
病気があるかどうか白黒はっきりつく病気と、どっちつかずのグレーゾーンのある病気があります。前者の代表は網膜剥離ですが、後者の代表は緑内障ではないかと思います。私もグレーゾーンという言葉を診療中に使うことがあります。
眼圧についていえば、正常値を超えていても緑内障性の変化のない高眼圧症という方がおられます。高眼圧だからといって必ず緑内障になるというわけではないのですが、緑内障になりやすいハイリスクグループであることは間違いありません。目が高眼圧というストレスにさらされて緑内障という病的な状態に移行する場合は、ゆっくりとした変化であることが多く、正常と病気の線引きあるいはいつ治療を開始するかといった判断が時として難しくなります。
また、視神経の出入り口である視神経乳頭が生まれつき変形(低形成)している方がおられます。それ自体は病気ではないのですが、緑内障で現れる視神経の異常によく似た様子をしていてしかも視野欠損を伴っていることが時にあります。しかしこの視野欠損は生まれつきなので進行することはなく治療の必要はありません。
ただし、このような方が緑内障にならないという保証はどこにもありません。まずは本当に治療の必要がないのかどうか、緑内障が合併してきていないかどうかなどの判断を、経過観察を続けていく中で見極めていかなければなりません。
グレーゾーンに該当され、経過を見せていただいている方が当院にもたくさんいらっしゃいます。積極的な治療を行っているわけではないのですが、将来治療が必要になるかもしれないため経過観察は欠かさないように是非お願いします。