コラム集 緑内障と視神経症 2007.10
日本人における緑内障の罹患率に関して、古くは1982年に最近では2000年に疫学調査が行われました。それによると欧米人に比べ正常眼圧緑内障が多いという結果がでました。緑内障とはこれまで
1.眼圧が高い
2.視神経に緑内障性の変化がでる
3.視野欠損が生じる
ことが、診断基準とされてきました。眼圧とは目の圧力(硬さ)をはかった値で正常値は21mmHg未満とされています。この正常値は欧米人を基準に設定されたもので、日本人には少し高すぎるのではないかと行った議論が以前からあります。それはともかく、正常値以下の眼圧でも緑内障になってしまう方が多くいるということは大きな問題です。2000年の目の愛護デーで講演させて頂いた「しのびよる正常眼圧緑内障」でもそのことをお話しました。
緑内障というのはこのように視神経が障害されて起こる病気で、言ってみれば視神経に障害が起こる病気の総称である視神経症のひとつということができます。この視神経症は虚血、圧迫(腫瘍)、外傷などいろいろな原因で視神経にダメージが生じる疾患群です。これらの病気の経過が緑内障による視神経障害と類似することがあるためその鑑別は時として大変重要になります。