コラム集 学校保健統計調査と眼2 2017.01
年末に出た学校保健統計調査を見てみると、小中高ともに裸眼視力が1.0以下の生徒の割合が、 小学生で31%、中学生で55%、高校生66%と残念ながらすべての年代で過去最高になってしまいました。 2年前のコラムで学校保健統計のことを取り上げたことがあります。 ゆとり教育による近視化の歯止め、スマホ使用による高校生の急激な近視化の可能性など科学的根拠に基づいてはいないのですが私見を述べました。
近視になるかどうかは遺伝要因と環境要因があります。 遺伝要因とは親と顔が似るのと同じようなことで、親が近視の方はご自身も近視になりやすいのです。 これはいかんともしがたい部分がありますが、問題は環境要因です。
テレビに始まり、テレビゲーム、パソコン、スマホへと電子機器類の使用が時代とともに変わっていく中で、 どんどん画面と目の距離が近くなりそして表示される文字が小さくなっています。 見たいものが近ければ近いほど目は寄り目になり、ピントを合わせるための努力が必要です。 つまり、近くで小さい字を見ようとすればするほど目に負担がかかってしまうのです。 本を読むときに顔にくっ付けるように見る人はほとんどいませんが、スマホはそんな近すぎる距離で見ている人をときどき見かけます。 私も少しその傾向があったのですが、パソコンやスマホを連日長時間使用する方は、社会人になってからでも少しづつ近視化してしまう方がおられます。 これはライフスタイルにおける環境要因が近視化の原因となっています。
また、スマホをとても近づけて長時間見続けると「スマホ老眼」とも言われる近くがかすんで見にくい状態になってしまいます。 休みを入れた後は回復するのですが、あまり無理な使用が続くと休んでも症状が回復しなくなることもあります。 もちろん個人差があるので、適切な使用を守っている方でもこのような現象は起こりえます。
成人でも環境要因で近視化してしまうような目にとって働きすぎを強いられる生活環境が、スマホの小中学生への普及にあわせ低年齢の学童にも及んできています。 スマホやパソコンなどインターネットに接続できる機器を使う機会がどんどん低年齢化している今、 アプリやSNSの安全な使い方などと併せて、目を過度に酷使しないような休みの取り方や、適正な利用時間などの教育を、小学校の早い時期から教えないといけないと思います。