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コラム集 流行性角結膜炎 2023.08

流行性角結膜炎(EKC : epidemic keratoconjunctivitis)はアデノウィルスによる感染症で、はやり目と呼ばれることもあります。 手指消毒用エタノールの効果が低く感染力が強いため、学校、病院、家庭などで集団感染を起こすこともあります。 EKC患者さんが使用したウイルスに汚染されたタオルやティッシュペーパー、洗面台の蛇口などに触れた手で目をこすったり、コンタクトレンズの着脱などで目に触れたりすることで感染します。 潜伏期間は8-14日で、季節としては8月を中心とする夏に多く、幅広い年齢層にみられます。

症状はまぶたの腫れ、充血、目ヤニ、流涙、耳前リンパ節の腫れなどです。 角膜に炎症がおこった場合はまぶしさや視力低下を感じることがあります。 ほかの結膜炎と異なる特徴的な症状はありませんが、EKCを疑ったら迅速検査キットを使って確定診断を行います。

アデノウィルスに効く特効薬は残念ながらありません。 目ヤニや充血などに対する対症療法が治療の中心となります。 症状は1-2週間続くことが多く、片方の目だけだったのが、時間がたつにつれ両眼に症状が出ることもあります。 点眼は症状の出ている眼だけにしてください。 点眼ビンの先がまつ毛に触れたりすると、点眼薬がウイルスに汚染されてしまい、症状の出ていない目に自分でうつしてしまいかねないからです。

EKCであれば、インフルエンザと同じように治るまで自宅静養するなど感染拡大防止のための対応が必要です。 乳幼児にうつると重篤化することがあります。ご家庭内で感染拡大しないように十分気を付けてください。