コラム集 人間ドック 眼科編 2018.10
このコラムを書くにあたってまずお伝えし たいことは、結果に「要精密検査」と書かれてあるにもかかわらず、 精密検査を受けないならそれは人間ドックを受けていないのと同じことだということです。
眼科の検査項目としては、視力検査、眼圧測定、眼底写真撮影が主な項目です。ドックによっては含まれていない項目があるかもしれません。 以下のような検査結果が書かれてあったら、「何かよくわからないこと書いてあるけど自覚症状ないから受診しなくてもまあいいかな?」はやめてください。 必ず眼科で精密検査を受けてください。
1 視神経乳頭陥凹拡大
緑内障の疑いとほぼ同じ意味だと思っていただいていいと思います。 緑内障は視力が下がるのではなく、視野の一部の軽い感度低下から始まります。 ごく初期の段階は自覚症状はありません。 何年も前から人間ドックで指摘されていたのに精密検査を受けていただけず、もはや初期とはいいがたい状態で受診される方がいらっしゃいます。 悪化すると元に戻らない病気で残念ながら成人の失明原因の1位です。 多くの場合は視野検査など検査結果が正常で心配ないのですが、それでも念のために経過観察を受けて本当に緑内障に移行してないかどうかのチェックは必要です。
2 高眼圧
眼圧の正常値は21mHg未満で、日本人の平均値が14.5mHgです。眼圧が高いと緑内障になるリスクが高くなります。 高眼圧だからすぐに緑内障になるあるいは進行するわけではありません。 ただ、あまりに高すぎると緑内障になっていなくても眼圧を下げる必要があります。 また日本人は正常眼圧緑内障という、眼圧が正常範囲内でも緑内障を患ってしまう方が多いのです。 そのため欧米人に比べ眼圧が高いことは将来緑内障になるリスクが高いのです。
3 黄斑変化あるいは黄斑混濁
黄斑変性症の疑いと書いてあれば精密検査を受けようと思われる方が多いと思います。 黄斑変化あるいは黄斑混濁と書いてあるときは、黄斑上膜、黄斑浮腫、黄斑変性症などの黄斑部に病気がある疑いの時に用います。 いずれも進行すると視力低下や変視症の原因になりうる病気です。
4 眼底(写真) 判定不能
眼底写真に異常所見がないかどうかを眼科医がチェックしています。 写真がきれいに撮れず、眼底に病気があるかどうか判定できないときのコメントです。 瞳孔が小さくて写真がうまく撮れないだけならいいのですが、白内障など眼底までに何らかの問題があって写真が撮れないこともありますし、 眼底に異常がないかどうかもチェックする必要があります。
くどいようですが、眼科検査結果に「要精密検査」と書かれてあったら必ず眼科を受診してください。 必要な検査を行いその結果と書かれている意味をご説明します。また、ほかに病気が隠れていないかもチェックできますので、 「よく見えているし痛くも痒くもないから受診しなくてもまあいいか」はだめです。