コラム集 バトンタッチ 2016.08
リオ五輪で日本選手の大活躍が続いており、これから行われる競技も目が離せません。 そんな五輪テレビ観戦中にリレー競技でのバトンタッチを見ていて、かかりつけ医の交代と同じようなものかもとふと感じました。
どういうことかというと、紹介状というバトンをこれまでのかかりつけ医から新しいかかりつけ医へとしっかり受け渡しすることがとても大切なことなのです。 過去の病状や治療経過を把握し、今の診察結果を踏まえ将来の治療戦略を練っていくためです。 特に経過の長い緑内障の患者さんにとっては、必須といっても過言ではありません。 治療開始前の病状、治療経過、今の治療法で進行を食い止められているかどうかなどは重要な情報です。 緑内障治療用点眼薬は何種類かありますが、さし心地がよくないものも多く、充血、色素沈着、異物感など局所的な副作用や、 めまいやふらつきなど全身的な副作用のため使用できないことがあります。 もしこのようなことが過去にあったことを知らなければ、当院で同じ治療法を提案してしまう可能性があります。 そのため当院にこれからかかりつけを希望される患者さんが、このような内容を含んだ情報満載の紹介状を持ってきてくださるととてもありがたいのです。 当院から転院される方にも、効果のあまりなかった薬、副作用で使えなかった薬などがあればこのようなネガティブな詳細も含め情報満載の紹介状を作ってお渡ししています。 少しお時間をいただいて書いておりますので、電話でも結構ですから早めに教えていただければ、受診時に追記してお渡しすることが可能です。
転居などでかかりつけ医を変更しなくてはならなくなったときは、紹介状を依頼し書いてもらうというそのひと手間が、転居後の目の健康管理に大きく貢献してくれます。 緑内障に限らず、黄斑変性症、糖尿病網膜症など経過が長くなる病気で治療を受けている方や、網膜剥離などの手術歴のある方は是非ご検討ください。