オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 老人環 2015.10

私が診察後に「白内障もほとんどなく健康な目ですよ」と伝えると、 「黒目の端が白くなってきたのでてっきり白内障が進んだと思っていたのですが、違うのですか?」と質問を受けることがあります。 これは図の白矢印で示すように、白目と黒目の境目が白く環状に濁ってくる現象で老人環と呼ばれています。 最初は時計盤でいうと12時あるいは6時のあたりからできはじめることが多く、年齢とともに環状に濁りが進んできます。 黄色矢印のように透明なところが白目との間に残っているのも特徴の一つです。

白内障は以前のコラムでも触れましたが、水晶体というレンズに当たる組織が加齢とともに白く濁ってくる病気です。 もし白内障が原因で黒目が白く見えるのであれば、黒目の真ん中の瞳孔(図赤矢印で示す丸い部分)が白く見えるので場所が違います。 そもそも白内障で黒目の真ん中が白く見えるような状態なら相当進んだ白内障です。

老人環は60歳ぐらいになると鏡を見てわかるぐらいになる方がそろそろ出てきて、80歳ぐらいになるとほとんどの方にみられます。 どちらかというと男性のほうが早くそしてはっきりと出てきやすいようです。 もともと透明な角膜が白く濁る原因は、年齢とともに脂質が少しづつ沈着し透明ではなくなるからです。 ただ、老人環は文字通り老化現象の一つで病気として心配する必要はありません。 年齢とともにだんだん見た目に白さがはっきりしてくるのですが、これが原因で視力低下が起こることはありませんのでご安心を。

鏡を見て老人環に気づき、「先生、黒目が白くなってきたので気になります。」と受診される方も時にいらっしゃいます。 老人環に限らず目で気になることがあればお気軽にご相談ください。 もし病気が見つかれば先手必勝ですし、健康な目であれば安心していただけますしね。