オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集  急性隅角閉塞症(急性緑内障発作) 2009.04

急性隅角閉塞症とはこれまで急性緑内障発作と呼ばれていた病気です。病気には突然起こる急性の病気と、だんだん悪くなる慢性の病気があり、緑内障は基本的には慢性疾患です。

ただ、その中に急性緑内障発作と呼ばれていた病気があります。ある日突然眼圧がものすごく高くなり、かすみ目、目の痛み、吐き気、頭痛などの症状が出ます。吐き気や頭痛のために内科にかかる方もいらっしゃるぐらいです。放置しておくと短期間に大きな視力障害を残してしまい、場合によっては失明することもあります。

この急性発作は前回コラム「隅角と緑内障」でお話しした隅角(排水口)が完全に閉塞してしまったときに起こります。この排水口が狭い人が欧米人に比べ日本人、特に高齢で遠視気味の女性に多いといわれています。

元々狭くて余力のない隅角が何らかの原因で閉塞してしまうと、目の中に水が入ってくるばかりで出て行かないという状況になってしまいます。そうなるとボールに空気を入れすぎたときのように目がかちかちに張ってしまいます。これが急性発作の状態です。

この急性緑内障発作を起こされる方は緑内障性の視神経障害や視野欠損を生じていない方がほとんどなのです。つまり、急性発作を起こす前は緑内障にかかっていない健康な目だったということです。

また、速やかに治療が行えた場合は瞳の大きさが変わらなくなってしまうなどの後遺症が残ることがありますが、緑内障性障害を残すことなく治ります。

そのため、緑内障診断ガイドラインでは、緑内障という言葉を病名から削除して、この病気は急に隅角が閉塞する病気であるという意味で急性隅角閉塞症と呼んでいます。

急性隅角閉塞症が起こりそうかどうかを判断するときに助けになるのが、暗室うつむき試験と生体長音波顕微鏡検査(コラム:隅角と緑内障参照)です。また、この病気が起こるとできるだけ速やかに隅角の閉塞を解除し、目の中の水を排水できる状態にしなければなりません。そのためのレーザー治療、手術治療などいくつかの治療法があり、その人の目の状態によって最適な治療法を選択することになります。