コラム集 隅角と緑内障 2009.04
緑内障は大きく開放隅角緑内障(OAG)と閉塞隅角緑内障(ACG)に分けることができます。
隅角というのは目の中にたまっている水(房水といいます)が目の外に出て行くいわば排水口に当たるところです(図1、図2)。ここが広く開いている状態を開放隅角といい、排水口が狭かったりふさがっているような状態をそれぞれ狭隅角、閉塞隅角といいます。緑内障患者さんの多くは開放隅角緑内障です。
前回のコラムで、緑内障の診断基準から「眼圧が高いこと」がはずれたことをお話ししましたが、閉塞隅角緑内障は基本的には眼圧に依存する病態です。つまり、隅角からの排水能力が低下して眼圧が上昇してしまい、それが長期にわたると緑内障性変化が出てくるというものです。
そのためこのタイプの緑内障では隅角検査が重要になります。ACGが疑われる場合には当院でも通常の隅角検査を行います。その結果、精密検査が必要だと判断した場合は大病院に超音波生体顕微鏡検査(UBM)や暗室うつむき検査(PPT)を依頼しています。
UBMとは超音波を使って隅角の形状を測定する装置です。通常の隅角検査では見えないところやよくわからない細かい部分まで検査することができます。(図2の矢印の先が隅角になります)
PPTとは文字通り暗室で1時間うつむき続けてもらう検査です。うつむく前後で眼圧を測定して、どれぐらい測定値に差があるかを調べます。正常ではうつむいた前後で大きくは変動しないのですが、隅角の排水能力に余力のない人はうつむいた後で眼圧が上昇してしまいます。
これらの検査の結果、目薬では管理が難しいと思われるような方や急性緑内障発作を起こす危険のある方の場合には、手術やレーザー治療などが必要になります。先ほどお話ししましたように、隅角が狭いあるいは閉塞していることが問題になるため、治療としてはそれを解除することが主目的になります。
特に白内障手術は、術後に隅角が広く解放されるため(図2:左術前、右術後)、白内障を伴っている閉塞隅角緑内障の方にとってはよい治療法の一つになります。