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コラム集 弱視 2022.02

弱視とは視力低下の原因となる病気がないにもかかわらず、メガネやコンタクトレンズを装用しても視力が出ない状態を指します。 幼少時に視覚刺激が適切にフィルムに当たる網膜に届いてないことが原因です。 10歳ぐらいになるといくら適切な視覚刺激を受け取っても視力改善につながらなくなります。 こうなってしまうと弱視の状態が生涯続いてしまうので、そうならないように3歳児検診や小学校入学前検診での目の健康チェックは重点項目の一つです。

弱視になる可能性がある原因は主に4つあり、形態覚遮断弱視、斜視弱視、屈折異常弱視、不同視弱視と呼ばれています。

(1)形態覚遮断弱視

網膜に視覚刺激が届きにくくなっていることが原因で起こります。 先天性眼瞼下垂でまぶたがかぶって邪魔したり、角膜や水晶体(レンズに当たる組織)に濁りがあったりする場合などが当てはまります。 視覚刺激を届けられない原因を取り除くための手術が必要になることがあります。

(2)斜視弱視

物を見るときに片方の目だけがまっすぐ見ていて、他方の目は違う方を向いている状態が斜視です。 斜視でも右目と左目が同じぐらいの時間まっすく向いてくれていると弱視にならないこともあります。 ただ、どちらか片方の目だけで見続けていると、まっすぐ向いていない目は適切な視覚刺激が届かずに弱視になってしまいます。 弱視ではないほうの目をアイパッチで遮蔽して、強制的に弱視眼に適切な視覚刺激を与え、視力回復を図ります。 場合によっては斜視手術が必要になることがあります。

(3)屈折異常弱視

両目に強い遠視や乱視があってピントの合った適切な視覚刺激が届いていないことが原因です。 強い近視では遠くは見えにくいですが、近くが良く見えるためあまり弱視の原因とはなりません。 強い遠視の場合、遠くも近くもぼやけた見え方になっていて適切な視覚刺激が届いておらず、弱視になるリスクが高くなります。 まずは完全矯正したメガネを装用し、視力の向上を図ります。それだけでは不十分な場合にはアイパッチを併用することがあります。

(4)不同視弱視

右目と左目の遠視や近視、乱視の度数の差が大きくて、片方の目にしか適切な視覚刺激が届いていないことが原因です。 完全矯正したメガネの装用とアイパッチの併用で治療します。