オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集  後発白内障治療用のレーザー導入しました 2016.07

これまでは、当院に後発白内障治療用のレーザーがなかったため、白内障手術を受けていただいた病院へレーザー治療目的で受診していただいていました。 手間と時間をいただくことになり心苦しかったのですが、レーザー治療器を導入し当院で治療受けていただけるようになりました。 これを機に今回のコラムは白内障とその術後に起こる後発白内障について書いてみようと思います

白内障とはカメラのレンズにあたる水晶体という組織が年齢とともに徐々に濁ってくる病気です(図1矢印)。 もちろん先天性や炎症などに引き続いて起こる続発性など老化以外が原因のものもありますが、ほとんどは老人性です。

白内障は濁った水晶体を手術で取り出して透明な人工レンズに入れ替えるという治療を受けていただければ元の視力を取り戻すことが出来ます。 眼の中に入れた人工レンズはよほどのことがない限りは透明なままなのですが、後発白内障というトラブルで再び視力が低下してしまう方がいらっしゃいます。 術後に起こる問題としてはまれではなく、ちゃんとした治療法があるのであまり深刻な問題ではないのですが、 せっかく白内障手術で取り戻した視力がまた低下してしまう原因になってしまいます。

図1は白内障で白く濁った水晶体(矢印)です。 これを手術して透明な人工レンズに入れ替えると図2のような感じになります。 人工レンズを固定するためにレンズの後ろ(眼の内側)に後嚢という薄いセロファンのような膜を残しています。 これが時間の経過とともに少しずつ濁ってくるのが後発白内障です(図3矢印)。

後発白内障自体は、ほとんどの場合視力に影響しない程度にとどまり治療の対象になりません。 ただ、濁りが強くなってしまうと白内障と同じようにその濁りごしにものを見ることになり、かすみや視力低下の原因になってしまいます。 治療法はレーザー光線で後嚢ごと濁りをたたき落としてしまいます。 痛みを感じることもなく数分で終わる比較的安全な処置で、受診当日に治療を受けてそのまま帰宅していただけます。 レーザー後の安静や目薬での治療は不要です。 たたき落とした濁りは徐々に吸収されてなくなるのですが、しばらくの間はそれが原因で飛蚊症を自覚される方がいらっしゃいます。 まれに、術後眼圧が上昇したり、レーザー照射の衝撃で網膜に出血や裂孔ができることがありますが、その時は必要な処置を迅速に行うことになります。 特殊なケースをのぞいて治療は一度きりで再発することはありませんし、治療で後嚢の一部がなくなっても人工レンズの固定には影響しませんのでご心配なく。