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コラム集 アデノウイルス感染症 2025.08

眼科では流行性角結膜炎(EKC、はやり目)がアデノウイルス感染症で成人が発症の中心ですが、その多くは小児科でよく遭遇する疾患です。 アデノウイルス感染症である咽頭結膜炎(プール熱)は1歳が発症のピークで、経過は比較的良好だそうです。

アデノウイルスにはいろいろな型があり、数字で表されます。 例えばEKCの原因となるアデノウイルスは8,11,19,37型などです。 番号を見ていると50以上の型があり、それぞれ異なった疾患の原因となっています。 EKCは非常に感染力が強く、家族内や院内感染拡大防止が重要です。 私が勤務医だったころ、眼科病棟に入院されていた患者さんに流行してしまい、病棟閉鎖に追い込まれたこともありました。 潜伏期間が8-14日あり、症状は短くても1週間、長いと1か月近く続くこともあります。 インフルエンザウイルスにはワクチン接種やタミフルなどの抗ウイルス薬がありますが、今のところアデノウイルスにはそのような特異的な治療法はなく、対症療法がおこなわれています。

アデノウイルス感染はその型の違いによっていろいろな病気や症状が出るのですが、5類感染症として指定されているのは咽頭結膜炎とEKCです。 以前新型コロナウイルス感染症が2類から5類に変更になりましたが、5類は法律に基づく分類の中で感染力や重症度は比較的低いながらも、国が発生動向を調査し、感染拡大を防止すべき感染症と定義されています。夏が流行しやすいシーズンです。手洗いなど感染予防に注意してください。