コラム集 眼科のビッグデータとAI 2023.07
眼科でもビッグデータやAIを活用して診断・治療に役立てようという活動が行われています。 それには数多くある眼科の検査機器のデータを共有できるようにフォーマットの統一が必要です。 それぞれのデータに互換性がなければ比較したり、ビックデータとして利用したりすることができません。 日本眼科学会ホームページに掲載されている、7月1日時点でのデータベースによると、視力、眼圧、眼底写真など合計150万件以上のデータが集まっています。 その中でデータ共有化の試みとして緑内障サマリーページがあります。 157件と件数は多くないのですが、疾患別としては最初の試みです。 今後緑内障サマリーページの件数が増えていくとともに、角膜や網膜などほかの疾患別のサマリーページができていくことを期待しています。
眼科領域でビッグデータとAIの基盤整備を目的とした団体JOI Registryと国立情報学研究所との共同研究として、健康な人の眼底画像からその年齢を推測するモデルが作成されました。利用するためのアプリケーションが必要ですが、これはウエブサイトで一般公開されていて誰でも利用できます。推定された年齢と実年齢の差は2.39歳となかなかの好成績です。
今は大学病院や市中の基幹病院からのデータがほとんどですが、当院のような診療所レベルからのデータも共有化できるようになると、さらにビッグデータとしての発展が期待できるでしょう。もちろんデータの収集に関しては個人情報としての十分な配慮がなされています。