オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 眼鏡型ウェアラブル端末 2015.01

眼鏡型ウェアラブル端末であるグーグルグラスが、現在の型での製造販売を中止するという記事が最近掲載されました。 もともと一般販売はされておらず、ソフトウェア開発者向けのみに販売はされていたのが中止されたようです。 一般向けに販売するには端末が高価なこと、アプリや追加機能を開発する企業の多くが有用性・採算性に疑問があると撤退したことなどが影響しているそうです。

ウェアラブル端末の正確な定義はよくわかりませんが、私としては身に着けて持ち運べるパソコンあるいはインターネット接続と利用ができるものというイメージを持っています。 持ち歩けるということでは携帯やスマートフォンもそうなのかもしれませんが、 端末機能を備えたメガネ、腕時計、指輪など肌身離さず持ち歩けるものの総称と思っています。 最近ではアップル社からアップルウォッチという腕時計型端末が発売される予定です。

いろいろなウェアラブル端末が開発・計画されていますが、興味のある方は各々の製品のホームページを見ていただければと思います。 眼科医としては眼鏡型がどのような機能を実現しようとしているのか興味があったので、 グーグルグラスなどいくつかの製品や試作品について調べてみました。 私が調べた範囲では今のところわざわざ視野の一部を犠牲にしてまで提示し続けなくてもいいような機能がほとんどかなという印象です。 逆に提示される情報に気を取られ、「歩きスマホ」ほどではないにせよ、歩行時などでは危険ですらあります。 法律的にもこれをつけたまま運転すると安全運転義務違反に問われたり、搭載カメラでの盗撮が迷惑防止条例に抵触するかもしれません。 実際にアメリカではグーグルグラスをつけたまま運転して反則切符を切られたケースがあります。

座ってあるいは立ち止まっての作業であれば有用なのかもしれませんが、そもそもそのような環境であればパソコンやスマートフォンで十分代用できるし、 たぶんそのほうが見やすいのではないでしょうか。 歩いたり運転したりしながらでもメガネを通して見なければいけない情報がどれぐらいあるのかは疑問です。 ITの進化でいろいろできることが増えているとは思うのですが、眼鏡型の端末に関してはそれをかけてできることと、生活の中で必要としていることが少し違うような気がします。 正直なところ眼鏡型端末が提示する情報量は、人間が体を動かしながら同時並列にできる視覚情報処理の能力を超えてしまっているのだと思います。