オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集  サングラス 2010.09

皆さんは「色が付いているメガネ」=「サングラス」と思っておられませんでしょうか?実はサングラスはJIS規格でその仕様が規定されていて、それ以外の物はファッショングラスなどと呼ばれています。なぜ法律で決められているかというと、カラーコンタクトレンズに関するコラムでも書きましたが、度の入っていないメガネでも安易にかけることによってかえって眼の健康を害することがあるからです。安いファッショングラスでは、レンズがひずんでいたり、左右のレンズが均一でなかったりするため、長時間かけていると疲れたり頭痛の原因になったりすることがあるのです。

いろいろな規定があるのですが、その中にサングラスを通してみたときに感じる、明るさの指標として視感透過率というものがあります。100に近づくほど明るく見えるレンズでJIS規格ではカテゴリー0からカテゴリー4まであり、数値が小さいほど明るく見えるカテゴリーになります。

網膜色素変性症、錐体桿体ジストロフィなどいくつかの眼の病気の患者さんにとっては、日常生活を送る上でサングラスは必要不可欠な物です。このような方々には当院でも遮光眼鏡など、病状にあわせた少し特殊なサングラスを紹介させていただいております。

健康な方でもサングラスを使うことにより生活が楽になることがあります。釣りやゴルフ、スキーなどアウトドアでのスポーツを楽しむ時とVDT作業を長時間される時です。私も釣りをするのですが、偏光グラスというタイプのサングラスをかけると海面からのきらきらした反射が抑えられてウキがとても見やすくなります。(これは個人的な意見ですが釣具屋さんで売っているような安価な物はあまり効果ありませんでした。)また、スキーや釣りでは雪面や海面からの紫外線の反射が強いので、曇り空でもゴーグルやサングラスの使用をお勧めします。ときどき紫外線による角膜炎(いわゆる雪目)になって診察に来られる方がいらっしゃいます。ゴルフでも芝目が逆光だと見にくいなどの感じを持っておられるなら、茶色系のサングラスがお勧めです。ただ、これも個人差がありますので、全員に当てはまるわけではありません。ご自身でお確かめいただければと思います。

VDT作業の時のサングラスの使用ですが、これは人によって効果がかなり違います。まずメガネをかけることによって、エアコンの風などが直接目に当たりにくくなるというドライアイ対策としての効果、照明の映り込みや画面のぎらつき感の軽減効果などをねらった物です。ただ、色を扱う方の場合サングラスをすると困るケースもあるので、机の位置や、画面の輝度とコントラストを調節して疲れないような環境で作業することをまず最初に考えてみてください。

最後にサングラス使用に際して一つだけ注意していただきたいことがあります。運転するときのサングラス使用です。JIS規格で運転不適合と表示されている物は使わないでください。緑、茶、赤、黄などの色の付いているサングラスは信号などの標識を誤認する可能性があるためたとえ昼間でも使用できません。また、グレー系のような全波長を均一に吸収するレンズでも、視感透過率が低い物は夜間運転できません。この場合は夜間運転不適合と表示されています。ファッショングラスも注意が必要です。意外に気にせず使っておられる方がおられますので念のため申し上げておきます。