オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集  OCT導入しました 2011.03

 OCTとは光干渉断層計の略称で、近赤外光を使い眼の奥にあるフィルムに当たる網膜やその奥にある脈絡膜といった組織の断層写真を撮る機械です。造影剤や放射線を使うこともない安全な検査です。通常の眼底検査で見つけることの出来る、出血、変性、浮腫などのトラブルがどの層にどれぐらいあるのかがわかる画期的な検査です。最近では撮影方法の発達に伴い、網脈絡膜疾患だけではなく緑内障診断や経過観察にも利用できるようになってきました。

10数年前から大学病院などでは診療の現場でOCTは利用され始めました。私も初期型のOCTを使ったことがありましたが、撮影しにくいため検査時間がかかる上に得られる情報もあまり多くありませんでした。得られた画像に何か写ってはいるようなのですがそれが何かはっきりわからないと言うこともよくありました。

 

今では格段に多くの情報を2秒程度の撮影時間で取得できるようになりました。そのおかげで病気の場所や程度だけではなく、これまでよくわからなかった視力低下の原因がわかることもしばしばあります。

当院ではこれまで約1年間にわたりOCTのデモを行い機種の選定を行ってきました。私の専門の1つでもある緑内障を調べるプログラムが充実しているかどうかなどの性能面以外にも、患者さんに出来るだけ負担がかからずに短時間で検査できるかどうかなどを考慮に入れ試用していました。このたびようやく導入する機種を決定し診療に利用し始めました。

    

左写真は眼底写真で、赤の十字線の水平線のところの断層像が右写真です。きれいにいくつかの層構造が描出されています(正常所見です)。たとえばキャベツを上から見ても葉っぱが1-2枚見えるだけですが、包丁ですぱっと切ると重なり合っている葉っぱの断面が層状に見ることが出来ます。この断面像がOCT画像です。これからいくつかのコラムに分けて黄斑疾患、緑内障などの視神経疾患などについてOCT検査の実際をご紹介して行こうと思います。