オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集  涙と目薬 2012.01

電子機器の発達に伴い、仕事や勉強をするにしても遊ぶにしても目を酷使する機会が格段に増えてきました。まばたきが極端に減ってしまうため、眼の疲れとともにドライアイが大きな問題となっています。 これまでもドライアイに関しては何度か取り上げましたが、特にこの寒くて乾燥している時期には乾燥肌を防止するための手入れが必要なように、眼の表面の手入れが必要ですし眼の休息が必要です。

眼の表面を守っているのが涙です。乾燥を防止するだけでなく、ホコリやゴミの洗い流し、栄養や酸素の供給、感染防止、眼の表面をなめらかに保つなど多くの大切な機能を担っています。涙は図1のように角膜側(眼の表面側)から順に ムチン層、水層、油層の3層構造になっています。各層がそれぞれに重要な役割を果たしており、どれがかけても眼の表面はダメージを受けてしまいます。 これまでは、水分補給を目的とした人工涙液と傷ついた角膜(黒目)表面の創傷治癒を促すヒアルロン酸を主成分とした目薬しかありませんでした。

最近になり、2種類の新しい目薬が開発されました。一つはジクアスという水分とムチン産生を促す目薬で、もう一つはムコスタというムチン産生を促す目薬です。 これまではただ補うだけでしたが、これらの目薬はまぶたや結膜の組織から涙のそれぞれの成分を分泌させる画期的なものです。

ただ、すごく喜んでもらえる方からあまり変わらない~かえって調子が悪いという方まで、その効果は患者さんによってだいぶ違います。 またジクアスの場合は「涙でにじんで見にくい」という、効果が出すぎて別の問題がおこる方が時にいらっしゃいます。 ムコスタは今年になってから発売されたためまだ患者さんにあまり使っていただいていないのですが、見た目は図2のようにふつうの点眼ボトルとは異なります。これはムコスタがUD(ユニットドーズ)製剤という、封を切ると一回で使い切るタイプだからです。私が試用した印象は「点眼直後は何も見えない」「苦い」でした。いったいどんな目薬かと思われるかもしれませんが、写真のように一回使い切りの小さな容器に入っており、液は真っ白です。これを点眼するので本当に一瞬何も見えません。しばらくすると薬がのどの方に流れ出ていくので苦みが出てきます。鼻炎などがある方なら結構長く苦みは残るかもしれません。ただ、副院長は苦みを感じなかったといっており、コンタクトの上から使ってもそのうち視界はクリアーになったそうです。 ちなみに、この目薬はコンタクトの上からも使えますが、運転中の信号待ちにさすことなどだけは絶対やめてください。

最近は本当に乾燥しています。昔は天気予報で「異常乾燥注意報」という名前で呼ばれていましたが、本当に異常と思えるほどの乾燥です。サハラ砂漠の真ん中より乾燥しているということを伝えている番組もあります。本当かどうかはよくわかりませんが十分に気をつけてください。乾燥とは一見関係ないように思われるかもしれませんが、かゆみやまぶたのただれなどの症状で困っておられる方もいらっしゃいます。もし思い当たる節がありましたらお気軽にご相談ください。