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コラム集 強度近視と黄斑病変 2020.02

強度近視が原因で網膜の中心部である黄斑に、萎縮や低形成だけではなく病気が生じることがあります。 正常の黄斑はOCTによる断層画像では図1矢印のように凹んでいます。図1で網膜の層としての厚みを水色で、脈絡膜は黄色で表しています。 網膜色素上皮はとても薄いので赤矢印で示しています。

1)黄斑円孔

黄斑に丸い穴ができてしまう状態が黄斑円孔です(図2矢印)。 フィルムの真ん中に穴が開いているわけですから、見たいところが見えないという大変不快な状態になってしまいます。 円孔だけの方も多いのですが、円孔から網膜剥離が起こるとさらにその周辺部まで見えにくくなってしまいます。 治療法は手術で円孔を閉鎖することですが、円孔ができる以前までぐらいに視力回復を図るのはなかなか難しい病気です。

2)網膜分離症

網膜剥離は網膜全層が網膜色素上皮から剥離している状態です。 一方、網膜分離症は網膜が何層かに分離している状態です(図3矢印それぞれが網膜組織)。 網膜剥離と違うのは視細胞層という網膜の中でも視力に関して一番大事な層が網膜色素上皮から離れていません(図3上矢印)。 そのため黄斑円孔や網膜剥離と違って良好な視力が維持できていることも珍しくありません。 良好な視力を維持できている方は経過観察ですが、視力低下あるいは変視症が強くなると手術の対象になります。

3)黄斑変性

黄斑変性についてはOCT画像含めこれまでのコラムでも書いています。 強度近視が原因で網膜・網膜色素上皮・脈絡膜に病的な変化が起こり、黄斑の正常な構造や機能を維持できなくなっていく病気です。 病気の原因や病像は異なりますが、治療としては加齢による黄斑変性症に準じます。