テーラーメイド治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 近視と病気(幼少期のスマホは要注意) 2019.12

フィルムに当たる網膜上にピントがしっかりあって、クリアな像が映っているのが近視でも遠視でもない正視という状態です(図1)。 近視になると網膜の手前にピントがあってしまい、近くはよく見えるのですが遠くはぼんやりとしか見えません。 最近、近視の方が増えてきて、さらに近視が始まる年齢も低年齢化しています。 近視になる原因の多くは、眼球が前後に細長くなってしまうことです。 眼球が正視の人はバレーボール、近視の人はラグビーボールみたいとイメージしてもらったらいいかもしれません。

近視はもともと遺伝の影響があります。 両親が近視の方はご本人も近視になりやすいのです。容姿が似るのと同じように近視も親に似てしまうのでしょう。 ただ、最近の近視の割合の増加・低年齢化はそれだけでは説明できず、パソコンやスマートフォンを見始める年齢の低年齢化あるいは視聴の長時間化が大きく影響しているようです。 人種差も大きく日本人をはじめとするアジア人に近視の学童が特に増えています。 電子機器類では特にスマホの影響が強いとされています。 同じ液晶画面でもテレビ、パソコン、スマホの順に視聴するときに目との距離が近くなります。 近くを見ようとすればするほど、目は「寄り目」になりますしピントを合わせるために努力が必要になります。 その状況が長く続けば近くを楽してみようとするために近視化してしまうのかもしれません。 20㎝ぐらいの距離でスマホを見る方も多いですが、これは目にとってはとてもしんどいのです。 近視化に至らなくてもスマホ老眼やスマホ内斜視の原因になってしまいます。 できれば手元から30cm以上離して、30分から1時間ごとに休憩をとってください。

近視も弱いものから強いものまで程度は様々ですが、視力矯正するために-6D以上の強い凹レンズが必要な近視を強度近視といいます。 ほとんどの方は強度近視でもメガネをかけて矯正すればよく見るので病的な状態ではありません。 ただ一部の方は眼球が細長くなりすぎることで様々な障害が起こり、メガネをかけてもよく見えないという病的近視という状態になってしまいます。

学童期の近視は成長に伴って確実に近視の度は強くなっていきます。 これは中高生で近視のメガネをかけていた方なら共感していただけると思います。 だからこそ幼少期からスマホを長時間見せて近視化が始まると、成人するころには強度近視になりさらには病的近視にになってしまうリスクが高まるのです。

実はこの病的近視のために視力や視野に障害を受け、生活に支障をきたしている方が少なくなくないのです。 病的近視に起こるトラブルのいくつかをこれからのコラムで書いていこうと思います。