オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 まつ毛美容液 2014.06

「まつ毛美容液」でインターネット検索をかけると本当にたくさんの商品が出てきますが、今回のコラムはまつ毛の育毛やお手入れに使われている「 まつ毛美容液」についてです。

以前のコラム「まつ毛パーマとまつ毛エクステ」の時もお話ししましたように 瞼の縁にはまつ毛以外に大切なマイボーム腺という粘液を分泌する組織が一列に並んでいます(図矢印)。 ここからの分泌物は目の表面と涙の間を取り持つ大切な役目があます。 化粧や乾燥などで機能低下すると視力が不安定になったりドライアイや慢性結膜炎の原因になったりすることがあります。 そこで瞼の縁を清潔に保つという発想から瞼の縁のクリーニングを目的とした「洗眼瞼剤」とでもいうような商品が発売されています。 そのうちの一つを試してみたことがあるのですが、効果のほどは正直よくわかりませんでした。 目のすぐそばの瞼の縁まで化粧をする方には効果があるかもしれませんが、まずはそのような化粧を控えていただくのが大切です。

瞼の縁を清潔に保つという意味でのお手入れはいいことと思うのですが、まつ毛の育毛・増毛という目的で販売されている商品の中に、 緑内障治療用の目薬を転用しているものがあるようです。 ビマトプロストという成分が含まれている商品群でラティース、ルミガン、ケアプロストなどです。 緑内障点眼薬としては「ルミガン」という製品名です。

緑内障という病気はこれまでいくつかのコラムで取り上げているのでそれを見ていただければと思いますが、眼圧を下げることが治療法になります。 その治療薬の一つとしてルミガンがあります。 一般的には眼圧下降効果は強いのですが、副作用もある程度の頻度で起こってしまいます。 充血・異物感・流涙・目ヤニ・角膜びらん(角膜に傷ができること)・目がくぼんだようになる・瞼が色素沈着して黒くなる ・まつ毛が太く多くなるなど美容上の問題も含めて結構多くの副作用が指摘されています。私が試しにルミガンを点眼してみたら1日中強い充血が続いてしまいました。

これらの副作用の中で最後の「まつ毛が太く多くなる」を逆手にとってこれを治療目的にしようという発想が出てきたようです。瞼に塗るだけといっても目の中に入らないはずはないので、上記の副作用は目薬として使っている時と同様に起こる可能性があります。まつ毛の美容目的なら眼圧下降も副作用になってしまいますが、美容上困る副作用は充血・瞼の色素沈着・目がくぼんで見えるなどでしょうか。 ビマトプロストの入っていないまつ毛美容液もネットで検索すると本当にたくさんあるようです。 すべての成分が本当にまぶたやまつ毛にやさしく、目の中に入っても大丈夫かどうかはよくわかりません。 大切な目です。少しでもおかしいなと思う症状が出ればもったいないからと使い続けることなくすぐに中止し眼科医に相談してください。