オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集  眼科今昔物語緑内障編 2010.03

わたしは緑内障をはじめとする視神経を専門として研究や臨床を行ってきました。これまでにいろいろな発症に関する発見あるいは治療法の開発が行われてきましたが、緑内障は残念なことに今でも失明原因の上位を占める疾患です。

これまでのコラムでもお話ししましたように、緑内障治療の基本はたとえ眼圧の低い方でもさらに眼圧を下げるということです。昔からいくつか眼圧を下げるお薬はあったのですが、十分な効果が得られるところまでには至りませんでした。

私が眼科医になった20年ぐらい前には、βブロッカーといわれる目薬を使えるようになって,それまで以上に眼圧を下げることができるようになりました。元々は血圧を下げるお薬として開発されたのですが、目薬として眼圧も下げることができることがわかり製品化されたものです。ただ、喘息の人には使えないなど全身的な副作用の面で問題があります。

10数年前からプロスタグランジン製剤というβブロッカー以上に眼圧下降作用がある画期的な薬が開発されました。さらに最近ではこのカテゴリーに属する点眼薬が数種類発売され患者さんの状態に即した選択ができるようになりました。ただ、この薬は人によってはまぶたが黒ずんだり、充血が強かったり、まつげが太く多くなるなどの眼局所的な問題点があります。そしてβブロッカー、プロスタグランジン系に共通の問題としては、長期連用するとかなりの確率で角膜障害が起こることです。そのため、緑内障点眼を一時中止せざるを得ない方や、点眼継続できずに手術に踏み切らざるを得ない方もいらっしゃいます。ノンレスポンダーといわれるお薬が効かない人がいることも問題です。

点眼薬の今後のトピックスとしては、これらの点眼薬の合剤(ひとつの目薬に2種類の成分が入っている目薬)が、発売される予定です。また、プロスタグランジン系の目薬の一部でジェネリックがまもなく発売されるだろうと思われます。

緑内障治療のもう一つの柱が手術療法です。これに関してはいろいろと改良が加えられてきて以前よりは手術成績は向上してきました。ただ、手術効果が持続してくれるとは限らないこと、手術により視力が軽度低下するなど視機能の低下が起こり得るなど問題点も多く残されています。白内障手術における超音波手術のような画期的な手術法の登場が今後期待されます。