オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 ブルーライトへの私見 2015.05

パソコン、スマホ、タブレットなどの液晶画面から出るブルーライトの影響がよく取り上げられており、患者さんからもよく質問をいただきます。 光工学の専門家ではないので以下の私見は科学的根拠が必ずしもあるわけではないことをあらかじめお断りしておきます。

さて、目に感じることのできる光線(可視光線といいます)の波長は400~800nm程度です。虹の色の順番でよく覚えた 「赤橙黄緑青藍紫」が波長に応じて変わる色合いの順番を示していて、赤が800nm付近で紫が400nm付近です。 これらの波長がすべて均一にあれば、白色にみえます。すべてなければもちろんまっ暗です。 液晶画面は発光ダイオード(LED)から出る光を利用して作られています。

完全な白色光を人工的に作り出すのは大変なため、できるだけ白色光に近づけた光を作る方法として3種類あり

1.青色LED+緑色LED+赤色LEDの組み合わせ

2.青色LEDの光を黄色系蛍光体に通す方法

3.近紫外LED+赤・緑・青の蛍光体に通す方法

最も普及しているのは2だそうです。パソコンなどの液晶画面の白色光も多分2の方法で白色光を作っているのでしょう。

余談ですが、青色ダイオード発明されたのががいかに重要なことだったかがこのことでもわかります。 これが発明される前は白色光を作ることができず。液晶画面はフルカラーで表示することができませんでした。 日本人が発明しことを誇らしく思うとともに、ノーベル賞に値する素晴らしい発明です。

ブルーライトは可視光線の青付近の周波数に相当し(当たり前ですよね)、400~500nm付近の光をまとめてこう呼んでいます。 ブルーライトといえば集中力を高めるという効果も報告されていますが、基本的に悪者の扱いをされています。 生活のリズムなどにも影響するといわれていますが、ここでは目に関することを取り上げます。

ブルーライトが悪者だとする理由として

・波長の短い青色領域の光は、波長の長い光よりも散乱しやすいので、まぶしさやちらつきの原因になりピント合わせに悪影響が出て疲れ目の原因になる。

・ブルーライトはエネルギーが強いので長時間見ていると目の筋肉が酷使され目の疲れにつながる。 また、そのエネルギーの強さで黄斑(フィルムに当たる網膜の真ん中のとても大切な部分)にダメージを与える。

などの可能性が指摘されています。

ブルーライトをテーマにしたサイトに、蛍光灯の白色光などと比べ液晶画面(LED)の白色光は青色領域で強い光を発していることを示したグラフが載っていることがあります。 いくつかのサイトでは強い光を発していることを強調するあまり、それぞれの光源を比較する条件が同一ではないのではないかと思うようなものもあります。 青空もブルーライトの宝庫ですが、青空を見続けて疲れ目の原因になることはありません。 やはり、長時間液晶デバイスを近見で見続けることが不快な諸症状の主因のような気がします。 目に限っていえばブルーライトをカットする前にいろいろ工夫してみることはありそうです。

私も長時間テレビを見たりやパソコンを使っていたりすると目が疲れてくるのを感じます。 特にパソコン使用できゅうくつな姿勢を続けると、肩こりや首のはり、ひどくなると頭痛が起こることがあります。 対策としてはテレビではできるだけくらい画面設定モードを選び、できるだけテレビから離れてみるようにしています。 おまかせモードだと画面がギラギラ眩しい感じがしてすぐ疲れてしまい長時間見ていられません。 パソコンも画面の輝度や色温度を工夫する、映り込みが起こらないようにパソコンの置く位置を工夫する、 下を向いた姿勢で画面を見られるような姿勢をとるなどを心がけています。 もちろんそれでも疲れますが、疲れたら休むのが目に限らず人間の体の大原則です。 ブルーライトをカットする眼鏡もありだとは思いますが、眼鏡をかける習慣のない人は眼鏡をかけること自体がストレスの要因になることがあります。 現に私も通常の耳にかけるメガネでは頭痛・肩こりがひどく以前に書いたコラムのような眼鏡をしています。

寝る前にパソコンやスマホをすることはテレビを受動的にみているのとは違い、能動的な作業で自律神経を興奮させているような状態です。 熱い風呂に入ったあとでは目がさえてすぐには眠りにくいのと同じです。 睡眠リズムが乱れたり、体調管理に悪影響すると思いますのでご注意ください。 目にとっても夜遅くにしんどい作業をさせられて、睡眠不足で目のリフレッシュが間に合わないままに朝を迎えると、 目のかすみ、違和感、まぶしさ、疲れなどが残っていることもあります。 ベッドに入ってでも手軽に操作できるためどうしても夜更かししてスマホを見がちですが、皆さんの体と目のためにもほどほどにお願いします。