オーダーメード治療を目指す神戸三宮の菊地眼科です

コラム集 セカンドオピニオンとドクターショッピング 2007.10

最近では患者さんご本人がインターネットなどを通じてご自分の病気について多くの情報を得る機会が増えてきました。ただ、そこで得られる情報は正しいものもあれば、そうでないものも含まれてることに注意が必要です。病気を調べていくうちにもっと色々な情報を知りたい、あるいはいま受けている治療法が最善のものかどうか知りたいと思うことは当然のことです。そこでかかりつけ医以外の医師にいま受けている治療法の是非あるいはそれに対するアドバイスを求めることを「セカンドオピニオンを求める」といいます。

私が神戸市立中央市民病院に勤務していたときにも、初診の患者さんから「この目薬を使っていれば私の緑内障は大丈夫でしょうか?」とか「手術を勧められたのですが本当に受けないといけないのでしょうか?」などの質問を多数お受け致しました。そのときに的確な返事が出来るかどうかは、セカンドオピニオンを聞くためのしっかりとした紹介状を持参されているかどうかが大きく影響します。何も持ってこられず、あるいはさしている目薬だけ持ってこられても大変困るのです。

セカンドオピニオンを求められる疾患はある程度慢性に経過する病気(緑内障、白内障、糖尿病網膜症など)が多く、一回の診察ではそのときの病状は把握出来てもどのような経過あるいは治療を経て現状に至っているのかはわかりません。同じ病状であっても薬による治療のほうが良い方もいらっしゃれば、手術に踏み切らざるを得ない方もいらっしゃいます。あるいは追加の精密検査を受けて頂く必要のあるケースもあります。持参していただいた紹介状からこれまでの病状の経過を把握し、今後の治療としては何が最善かを判断してゆくのです。

「かかりつけの先生から紹介状をもらってきてください。それをみてもう一度相談しましょう。」とお話しすると紹介状をもらってきてくださる方は残念ながら少数でした。「むこうにはもう行かないのでここでみてもらえませんか?」あるいは再診されない方がほとんどでした。もちろん引き続いて診察を希望される方は予約を取って経過を見て参りました。しかし、経過がはっきりしないためにどのような治療方針で望むのかを決めるにはある程度時間がかってしまいます。どの薬があるいはどの薬の組み合わせがその人にとってベストなのかを考える必要がありますし、それぞれの薬の効果判定はそんなに短時間には出来ません。また、必要と思われる検査全てがすぐに行えるわけではありません。そうこうしているうちに病状が悪化してしまっては元も子もありません。

また、再診されなかった患者さんのなかにはいくつかの病院を転々と訪ね回った方がいらっしゃったようです。いわゆる「ドクターショッピング」の状態です。これもその時々の病状の説明は各病院でしてくださるでしょうが、病状の変化に関してはどの医師にも説明は不可能です。だって、以前からどのように変化したかという情報を誰も持っていないのですから。このようなドクターショッピングを繰り返しているうちにどんどん病状が悪化したら大変です。

このようにセカンドオピニオンとドクターショッピングは全く意味が異なります。ドクターショッピングには賛成できませんが、セカンドオピニオンを求めることには私は大賛成です。もし当院の患者さんでセカンドオピニオンを聞きに他院へ行きたいとのご希望のある方は遠慮せずにおっしゃってください。紹介状料など所定の費用をご負担願いますが、ご希望される医療機関宛てに紹介状をお書きします。ただ、紹介状に必要な情報が多い場合には手紙を書くために少々時間がかかります。原則として、後日取りに来て頂くか郵送させて頂くことになると思います。ご了承お願い申し上げます。セカンドオピニオンを求められたあとで、当院の治療方針に納得していただけるようでしたら喜んで引き続いての治療を担当させて頂きますので、お気遣いなどは無用です。お気軽にお申し付けください。